梨木温泉と周辺の花めぐり


2006-05/11~2006-05/12


来年卒寿(90歳)を迎える母への今年の「母の日」の贈り物は、群馬県の梨木温泉の一泊と足利の大藤や館林のツツジなど北関東の花を巡る旅にした。


2006-05/11(木)

前日の天気予報では今日・明日共に雨であったが、宿も予約済みなので降られたら温泉でのんびりすることにして決行。
出発時の午前8時頃の空模様は厚い雲に覆われ今にも雨が降り出しそうだったが、北に進むにつれて次第に空に明るみが増して来て、今日一日は何とか持ちそうだと期待が膨らむ。
途中のサービスエリアで朝食をとり、その後さしたる渋滞も無く10時過ぎには和紙の里小川町の「伝統工芸会館」に到着。
伝統工芸会館では丁度切り絵の展覧会を開催中で、同じ趣味を持つ母は楽しそうに作品を眺め数種類の本や和紙を買い求め大変満足した様子。
以前、海外旅行の際に和紙を折った蟹が喜ばれたこともあったので、折り紙用に大きな和紙を何枚か仕入れ、次の目的地「秩父羊山公園」芝桜を見に向かった。
途中、高齢の母が急に体調を崩しビックリ。
駐車場で小休止しながら回復に努める間に、折角寄ったのだから後で母に見てもらおうと、一面に咲く芝桜の風景を証拠写真に収め、そのまま秩父神社へ。

秩父羊山公園

秩父神社へ着く頃には母の体調もすっかり回復し車から降りてゆっくりと参拝する。
ここは母も初めて訪れる地で荘厳な社殿を見て大変喜んでくれた。
山門をくぐると正面に拝殿が見える。毎年12月に開催される秩父夜祭の時は立錐の余地も無いほど混み合った境内も今はヒッソリと静まり返り参拝客もまばらである。

秩父神社山門から拝殿を望む 秩父神社拝殿

拝殿の左面は「お元気三猿」,裏面は「北辰の梟」,右面は左甚五郎作といわれる「つなぎの竜」等の彫刻で飾られている。

秩父神社正面の彫刻 左面にある「お元気三猿」
裏面を飾る「北辰の梟」 右面にある左甚五郎作「つなぎの竜」

境内では「大植木市」が開催されていて、野草のキバナホウチャクソウを購入したが後で調べたら園芸種らしい。
その後、神社の直ぐ隣にある「まつり会館」に寄って秩父夜祭の時に市街を曳き回される屋台を見学。秩父夜祭の映画も見て夜祭の気分を味わいつつ館をあとにした。
秩父夜祭の様子はこちら

ゆっくりとしていたので時計は既に午後2時を廻ってしまい近くのファミレス(徳樹庵)で遅い昼食にする。
ファミレスと言っても門構えは料亭、門前にメニューが出てなければ入るのを躊躇するような雰囲気が漂っている。
玄関で履物を脱ぎ中に入ると個室に案内される。
客室は全て個室でファミレスらしいのはメニューと価格だけ、何だか豪華な食事をした気分である。


昼食はファミレスで

今日の宿はキジ料理で有名な梨木温泉の梨木館。桐生経由で旅館に着いたのは午後4時半を少し廻ったところ。
この旅館の玄関は一箇所であるが、中に入ると「梨木館」と「はせを亭」に分かれていて、受付を済ませて長い廊下を進むと途中に木戸があり鍵を開けて更に廊下を進むとそこが「はせを亭」。
目に眩しい程の新緑に包まれた部屋つきの露天風呂もあったが、残念ながら温泉ではなく沸かし湯とのこと。外は風邪を引きそうなほどの寒さだったこともあり露天風呂は諦めて大浴場へ入ることに。
平日だからなのか他に宿泊客の姿は見えず貸しきり状態でのんびり温泉を楽しんだ。
キジ料理を主体にした食事は夕食も朝食も全て部屋食。老人が居るので部屋食は助かる。
冷蔵庫にある飲み物は全て無料であり、更に廊下には生ビールのサーバーとジョッキもありそれも無料で飲み放題。
お酒飲みには堪らないサービスと思うが、我が家では全員でかかってもジョッキ一杯を飲み干せない。
何だか損をしたような気持ちになるのは貧乏性だからか。

梨木温泉・梨木館 部屋つき露天風呂

2006-05/12(金)

ゆっくりと朝食をとり宿を出たのは午前10時過ぎ。まずは「星野富広美術館」へ寄る。
大学時代の事故で肢体が不自由になり動かせるのは口だけの身体になってしまった星野富広が、筆を口にくわえ血のにじむような努力をして文字や絵を描けるようになり、周辺で見た草花の絵を描くようになった。
展示されているのはそうして描かれた草花の絵とそこに添えられた一編の詩であり、草花が持つ情感が溢れてくるような絵は見る者全てに感動を与える。初めての車椅子でゆっくりと館内を巡った母は、辺りの自然とその作品にしきりと感動していた。

星野富広美術館 美術館のテラスから望む風景

星野富広美術館の後は「群馬フラーパーク」へ寄って一休憩。広大な敷地なので和風庭園の周りだけを散策してから、パーク内で簡単な昼食をとる。

群馬フラワーパーク

フラワーパーク内を散策中にハンカチの木の看板を見つけた。
ハンカチの木は今までに何度か見たことは有るが、これほどの花数を見たのは初めてである。

和風庭園 ハンカチの木

群馬フラワーパークのあとは、大藤で有名な「足利フラワーパーク」へ。
天然記念物の大藤の花は、花房の先端まで咲ききり下には散った花が絨毯のように広がっている。花の美しい時期は過ぎてしまったようだ。
園内にある沢山のツツジは丁度見頃であり、また鉢植えのクレマチスも園内各所に飾られていた。

天然記念物「迫間のフジ」 大藤の花
白フジのトンネル フェンスに絡めた白フジ
ツツジ クレマチス

足利フラワーパークの後は今回の旅行の最後の予定地である館林の「つつじが岡公園」。
しかし現地に着いてみたら既にツツジの花はすっかり終っていて、萎れた花が茶色く変色していてとても近付いての写真には耐えられない。仕方ないから花は諦めて隣にある城沼の遊覧船に乗ることに。

館林・つつじが岡公園>

遊覧船の運行は30分間隔だが、客が集まれば直ぐに運行しても良いという。
しかし次の運行予定時刻までは相当時間が有るし周囲を見廻しても他の客は一人も見えない。
諦めて帰ろうとしたら、係りの方が『直ぐに舟を出してあげるよ』と言ってくれた。結局我が家の3人だけのために40人乗りの遊覧船を貸切で運行してくれた。
所要時間は20分で湖のような広さの城沼を一周。湖面を渡る皐月の風が心地よい。

城沼遊覧船 遊覧船から見るつつじが岡公園



今回の旅はゴールデンウィークを避けるために少し日程を遅らせたので、フジやツツジの花の時期には間に合わなかったが、母主体で行程を組んだのんびり旅行で年老いた母にも充分楽しんでいただけたようだ。



inserted by FC2 system